北極昆虫経済圏?
今年も北欧のいろんなニュースに触れたが、私が一番衝撃を受けたのはなんといってもフィンランドの昆虫エネルギーバーの話。
私がつい先日までまったく知らなかっただけだが、映画『ブレードランナー2046』で見たあんまり楽しそうにみえない未来の食事がもう現実のことだと知った衝撃は大きかった。
スウェーデンでは食品としての昆虫の販売や提供はまだ許可されていないが、スコーネに住む私達にはとびきり身近なデンマークの昆虫食事情を年が変わる前に一度まとめておこう。なにしろ近い将来昆虫を食品として普通に扱うことは確実だし、そうであれば少しでも早いうちに考え方にだけでも慣れておいたほうがいい。
デンマークといえば蟻だったけど
デンマークの食といえば有名なレストラン、ノーマ。ノーマといえば蟻を料理に使ったことでも有名だった。
高級ボタンエビにアリがまぶされているくらいなら私もなんとなく食べることができそうな気がするが、コウロギや魚釣の餌に使われるミールワームのようなものをそのまま口に入れるのはいくらUmamiが効いておいしいよ! といわれてもまだまだハードルが高い。
街中のコウロギジュース工場
エコロジカルなコウロギジュースをコペンハーゲンの街中でつくっているのはSyngja。ジュース1本には33匹のコウロギが使われており栄養満点でおいしいらしい。
栄養価や味のよい食品の生産という面だけではなく、昆虫食生産のもっと大事な点はその持続可能性と都会で食料を生産できるという社会変革のパワーを秘めたところにある。
同じ重量のコウロギと牛肉から得られるタンパク質量は同じだが、それぞれの肉の生産が環境に与える影響には大きな開きがある。例えば昆虫は、牛や豚、鳥と比較すると必要とする飼料が極端に少ない。
またSyngjaでは、コウロギの餌にこれまではゴミとして廃棄されていたビール醸造所からでる絞りカスなどを使っており、街の中だけでジュース生産工程のすべてを行っている。
(ジュース工場のようすを下記のリンク先でみることができる)
国連の下部組織であるFAO(国際連合食糧農業機関)の2013年のレポートが言及しているのも、昆虫食は将来の人間の栄養源と食料を確保するだけでなく環境に対する負荷も低い点だ。
牛肉を生産するために必要な大豆が森林を破壊する一因になっている話も先日書いたばかり。これまで廃棄されていたビールの絞りかすからおいしくて栄養価の高いタンパク質を作ることができるのは素晴らしい。
昆虫食はすでに世界20億人の常識
すでに現在でも中南米やアジア各国などの世界の20億人には昆虫は紛れもない食料である。さらには、実は私も一年に1kgくらいの昆虫は知らないうちに食べているらしい。自転車で口を開けて乗っていたら小さな虫は入ってくるそうだし、また、有機栽培で育てられたおいしい野菜やベリー類に虫は結構たくさんついている。
そうか、もうそんなに口にしているものであるのなら、この先特に身構えることもないかな?