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国家予算、雇用、MMT理論

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スウェーデンの本年度の補正予算が昨日発表されたが、それについての政府の説明と野党からの批判が、そのまま次の選挙でも論点となりそうだったので、簡単にまとめてみたい。

また補正予算発表に際して、公共放送のSVTがコメントを取りにいった専門家がちょっといつもと違っていたので、その点についても最後に触れます。

450億クローナ(約5800億円)の規模の今回の補正予算は「医療や高齢者介護を強化するだけでなく、雇用や企業を守るためのこれまでのない大規模の対策」であると、与党中道左派、社会民主党のマグダレーナ・アンダーソン財務大臣は説明する。彼女の言葉によれば、今回の予算を表現する言葉は「Jobb,Jobb,Jobb」だ。

また、昨日の夜のニュース番組にアンダーソン財務大臣と共に出演していた最大多数野党で中道右派の穏健党クリステルソン党首は「スウェーデンは北欧で一番うまくいってない国」だと指摘し、失業率(8.8%)がEUの平均(7.5%」よりも高くなっていること、新型コロナウイルスでの死亡者の多さなどをあげた。また彼は、失業率を押し上げている外国生まれの人たちの間での長期にわたる失業が、今の最大の問題点であると話す。

極右政党スウェーデン民主党のオーケソン党首も同様の論調だが、さらには予算をより年金受給者のためや司法制度の強化のために使うべきだと声を高める。(司法制度強化の予算は昨年決定された本予算でかなり多く(550億クローナ)計上されている、と現政権への協力体制を敷く、中央党のローフ党首がコメントしている)

そして、SVTが補正予算に関するコメントを取りにいったいつもとはちょっとちがう専門家とは、MMT・現代貨幣理論のステファニー・ケルトンだった。彼女は「「借金」とかいうことを出してくること自体ナンセンス。スウェーデン政府はもっとたくさんのお金を繰り出して、社会のためにできることがある。もっとよい経済状況になれる余地があるのに、自分でその首を占めてしまっている」と厳しい口調だ。

スウェーデンはMMT理論にはあまり興味はないようだが、ケルトン教授はスウェーデンに望みを捨ててないという印象を私は受けた。スウェーデンとMMT理論については、こちらの記事もよければどうぞ。

swelog.miraioffice.com

スウェーデンを危機から脱するための450億の春の補正予算が決まる(SVT)

番組で予算に関する討論・クリステルソンは政府の優先順位付けを批判(SVT)

政府の財政政策をひっくり返す理論(SVT)

© Hiromi Blomberg 2021