swelog ニュースで語るスウェーデン

スウェーデンの気になるニュースを毎日伝えるブログです

環境・気候危機

海藻と牛とメタンガス

温室効果ガスの一つとして牛のゲップやおならとして排出されるメタンガス。この牛からのメタンガスの排出量を抑制するために、スウェーデンの海藻がこの先大きな役割を果たすかもしれない。 ある種の海藻を飼料にまぜて牛に食べさせると、メタンガスの排出量…

スウェーデンの環境問題と私のエコバッグ

スウェーデン政府はこの秋、今後の世界の資本主義の流れを変えるかもしれない大きな選択を目前にしている。その選択とは、これまでの経済至上主義の流れに留まりそのさらなる効率化を選ぶか、それとも気候危機へ対応を第一に考え、ひいてはパリ協定を遵守す…

モーリシャス座礁事故報道の不思議

モーリシャス沖で座礁した商船三井が手配した大型貨物船からインド洋に1千トン以上の重油が流出した事件が、日本ではスウェーデンでほど報道されていないように私には見えていて、ちょっと不思議に思っている。 こういう感想をもっているのは私だけではない…

レジ袋税でここまで変わったみんなの行動

時としてスウェーデンの政策変更は、その狙い通りというか、わかりやすいほどの国民の行動変容を引き起こす。お父さんしか使えない父親休暇制度の導入で、育児休暇をとる父親が増えたこともその一つ。 そしてこの5月から導入されたスーパーなどのレジ袋、シ…

キノコはいいけどマダニはね、の季節

まだ7月に入ったばかりだけど、森ではみんなが大好きなきのこ、アンズダケ(Kantareller)がもう顔をのぞかせているらしい。この夏は雨が少めだが、夏至前後の降雨により、今、白樺、とうひや松の林にいくと”カンタレッラ”を見つける確率が高くなっているそ…

グレタが語るヌーディスト・パーティー

「どこの国の政治家であっても、政治家というものは似たようなもの」。グレタ・トゥーンベリは昨年、ニューヨークの国連でのあの怒りのスピーチに始まる世界を駆け巡った長い旅を振り返り、そう切り捨てる。 「みんな一緒に写真を取るために列をなし、インス…

コロナ危機で気温は上昇

コロナ危機により世界中で様々な経済活動が減少すると、空気もきれいになって気候危機にもいい影響を与えるのかとなんとなく思っていたら、答えは逆だった。 大気汚染、空気中の微粒子などが減ると空気はより温まってしまい、直接的な結果として地球の気温は…

気候危機はスウェーデンで大きく表れる

このブログを書き始めたのは2018年の8月で、どんどん暑くなっていく夏に気候危機を肌身に感じたことと、9月頭に予定されていた統一選挙で排他的な極右政党が票をぐんと伸ばしそうな状況に、これはちゃんとニュースを追っておかなければだめだと思ったことが…

2020年4月の空気

ヨーロッパの航空交通量は70%減り、ストックホルムの交通量は30%少なくなった。 外出が禁止されていないスウェーデンでも、特にストックホルムでは多くの人が自宅からリモートで働き、電車やバスを間引き運転となり、またトラックなどによる物流も減ってい…

気候学者のメンタルチェック

自分のよい仕事は、世間への苦言。 毎日刻々と変わる気候問題を研究し、恐ろしい現実と向かい合い、それをわかりやすい形で伝えることに努力したあげく、政治家からの批判にさらされ一般人は耳を傾けない。 そんな毎日を送っている気候問題の研究者は落ち込…

雪と氷と動物たち(と鉱山と)

昨日は、スウェーデン北部のトナカイの放牧と鉱山開発企業との抗争についての貴重な話を聞く機会に恵まれた。話してくれたのは、自身もヨックモック近郊の出身のルンド大学の研究者。 トナカイの遊牧に関わるのはサーミ人の中でも10%程度の人でしかなく放牧…

セメント業界の二酸化炭素とCCS

スウェーデンのセメント製造業最大手でゴットランドに工場を持つCementa(セメンタ)。 セメントは原材料(石灰石)から加工する際に大量のエネルギーを必要とし、またその製造過程で石灰石を熱分解する際の科学的反応により二酸化炭素がでるという、二重の…

新税でスーパーから消えるビニール袋

野菜や果物を量り売りで買うことの多いスウェーデンでは、その際に薄いビニールの袋にモノをいれて計量し持ち帰ることが多い。このビニール袋一枚に付き30オーレ(約4円)課税されることが昨日の国会で決議された。直接課税されるのはこの袋の製造業者や輸入…

気候危機のために旅行先の変更を考慮する人が8割

ヨーテボリ大学のツーリズム研究所が行った最新の調査研究によると、スウェーデン人の多くは気候危機に対応するために、休暇先とそこへ向かう移動手段を変更する準備があるそうだ。 調査対象者の80%が、太陽と暖かさを求めて遠くの国(例えばタイは長らくス…

環境のために「自分は人よりよくやっている」?

ヨーテボリ大学がスウェーデン、アメリカ、イギリス、インドの4000人を対象に行なった新しい調査では、私達は「自分は他の人よりも環境問題により取り組んでいる」と思ってしまう傾向があるそうだ。 具体的にここであげられている取り組みとは、例えば環境に…

スウェーデンの1月の桜

昨日は北極海に例年ほど氷がなくて砕氷船の出番がまだない、という話を書いたが、今朝も温かい気候の話をもう少し。 1月の温かい気候は全国各地で続いており、ストックホルムの桜の名所クングストレゴーデン(Kungsträgåden)では桜が開花した。 これからお…

失業中の砕氷船

砕氷船Oden号(画像・Sjöfartsverket ) スウェーデンの最北の港町、ルレオでは5隻の砕氷船が出番なく待機中だ。毎年この時期には北極圏の氷をバリバリ割っていたが、今年は特に暖かくこの先も2,3週間はまだまだ出番がなさそうだという。 砕氷船を所有し…

ヨハン・ロックストロームと迎える「真実の新年」

「Gott Nytt år! (新年おめでとう!)ロックストロームのラジオ番組、もう聴いた? 年始めに必須!」 3時まで起きていた大晦日から一夜明け、年越しを一緒に過ごした友人夫妻とゆっくりお雑煮をいただいた後、のんびり後片付けをしていると夫がラジオ番組…

グレタの希望とヨハン・ロックストロームの悲観と今日の夕食

昨日、米タイム誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選出され、COP25の演説では政治家には希望はないが「希望は人々の中にある」と話したグレタ・トゥーンベリ。彼女の演説はスウェーデン国営放送のニュースサイトで生中継され、直後にSVTの気候問題専門の…

クロルピリホス、クロルピリホス

「クロルピリホス」は、シロアリ駆除や農業で害虫駆除剤として使用される毒性の強い有機リン系化合物だ。 人間の脳や神経系器官にもダメージを与え、特に胎児や小さな子どもには致命的な影響を及ぼすこともある。スウェーデンほか北欧諸国では農業向け殺虫剤…

ジンジャークッキーとパーム油

お菓子や洗剤の材料として使われ、世界でも一番使われている植物性油であるパーム油。そのパームヤシの植林のためにマレーシアやインドネシアの熱帯雨林が破壊され、そこに住んでいたオランウータンなどの動物が危機に面していることを小耳に挟んだ人もいる…

魚プラスティック・MarinaTex

イギリスの23歳の研究者の話だが、スウェーデンのニュースで取り上げられており、おもしろいのでこのブログでも紹介します。 革新的な掃除機や扇風機で有名なダイソン。その創業者の名前を冠し彼自身が賞の最終審査員となり、次世代のデザインエンジニアを称…

スーパーマーケットが脱プラしてみたら! swelog weekend

(今日noteに掲載した記事と同じ内容です) 「脱プラ、ノープラ、プラなし」。プラスティックごみ問題の深刻化に伴い、プラスティックをなるべく減らした暮らしを実践する人も少しずつ増えてきた今日この頃。スウェーデンではスーパーがプラスティックを使っ…

給食はジビエで

ノールショッピングの学校では、給食でイノシシの肉を提供することを開始した。 少し前に買った『Eat Good』というタイトルの持続可能なレシピとその周辺情報をまとめた料理本でも、肉を食べるなら野生動物の肉を、と書かれており、最近ちょっとジビエが気に…

移動のコストが行動を変える

「人々の行動を変えたいのであれば、「価格」を変更するのが一番」。これはヨーテボリ商科大学の環境経済学のトーマス・ステルネール教授の結論だ。 高いガソリン価格水準に車での移動に依存している田舎に暮らす人からは、これ以上ガソリンが高くなると生活…

MAXハンバーガーへの称賛と非難

ハンバーガーチェーンにはめったに行かないし食べないけれど、スウェーデンオリジナルのチェーンであるMAXバーガーのことは結構好きである。 ハンバーガーチェーンが内包している様々な問題を解決しようと頑張っていると理解している。使っている牛肉はもう…

北欧、北極圏と気候危機 swelog weekend

地球全体の気温上昇レベルと比べて、スウェーデンでは気候変動の影響が2倍強くなっている。北極圏の海の氷は1979年と比べて41%も減少しており、今週からストックホルムの北方民族博物館では「氷が溶けていく時」という大型企画展示も始まった。 日本の超大…

うなぎ

「Ålevangeliet」 スウェーデンでは今年「うなぎ本」が売れに売れて、この本は既に世界30カ国以上に翻訳されることが決まっているが、昨日は別のうなぎの話題がニュースになっていた。 スウェーデンの西海岸ハランド地方の発電所では、現在、絶滅危険種とし…

旅行手段は環境フットプリントで選ぶ時代へ

スウェーデン政府は、私たちが長距離旅行の手段を選ぶ際、飛行機、電車、バスの気候問題に対する影響を考えて購入できる手段を提供したいと考えている。 具体的には、チケットを購入する際に値段と一緒に気候への影響を数値で表示することを各交通機関に義務…

スウェーデンのぶどうの豊作で肌身に感じる気候危機

昨日、もうソロソロ季節も終わったと思っていたうちの菜園に行くと、まったく注意を払っていたなかったぶどうが驚くほど実っていた。 ちょっと嬉しいような、でも「あれ! 気候危機の影響がここまで? それはちょっと恐い!」と思ったり、「いや考えすぎでは…

© Hiromi Blomberg 2023